「山伏の 腰に下げたる 法螺の貝 一吹き吹けば 悪魔退く 二吹き吹けば 国が治まる」

熊野、那智山の東光坊の高僧、阿闍梨祐慶大法印祐慶法師が、お付の剛力と共に諸国行脚の途中、陸奥の国は那須野ヶ原をとおりかかった際、この原に住まいし、悪事をはたらく金毛九尾の悪狐に出会い、これを退治しようとするが、若い女に化けた狐に逆に苦しめられ、剛力は食われてしまう。朝廷の命を受けて征伐に向かった弓引きの名人三浦之介・上総之介によって悪狐を退治するという物語である。